SELFIE S5 の部屋

パイオニアのミニミニコンポ・SELFIE S5 についていろいろ書いてます

SELFIE S5の広告を見つけた!(その2)

広告右側ページの続きです

遠方の図書館で見つけたSELFIE S5の広告(DIME 1990年4月5日号)。前回は見開きページの左側と、右側の一部を紹介しました。本日はその続きで、文章の部分です。 

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前回の記事で紹介した商品コンセプトに続いて、その下には本体の特徴の説明があります。以下に引用します。原典での太字部分は、同じように太字で表現しています。小さめの字も同様。ただし改行位置、割注(1行内に小さい文字で2行で書かれた注)、英数字や記号の半角/全角は無視しています。なお、原典のフォントはゴシック体(正確には不明)です。

 

【S5】(セルフィーは小さい)コンポ幅260mm。だから場所を取らない。場所を選ばない。(セルフィーはレイアウトフリー)オールセパレートタイプ。スピーカーはタテ置き、ヨコ置き自由の新開発スラントバッフル採用。だからセッティングが楽しい。(セルフィーは音がいい)好みの音質が選べるサウンドイメージコントローラー。迫力の重低音を実現する新回路P.BASS。50W+50Wのハイパワー。CDダイレクト回路。だからハイファイ。(セルフィーは簡単操作)2モードCD編集機能A.S.E.S.。アメニティタイマー装備。AM/FM/TV3バンドチューナー。Wリバースデッキ。プログラム選曲、ランダムプレイ機能搭載CDプレーヤー。(リモコン/スピーカーベース付属)

 

はい、ひとまず引用はここまで。このあと、改行し(ただし行間は空けず)、S3の紹介に移ります。ひと休みという感じでコメントを。

 

まず、何といっても文章がムダにかっこいい。と思っているのは、きっとSELFIE S5に思い入れがある私だけでしょう。文体と本体のデザインが見事に一致。私のオシゴトは広告業界と無縁なので、まあ素人の感想には違いないのですが、それでも、いやだからこそか、こういう広告を作る人はカッコいいなあと素直に思います。

 

次に文中のコトバについて。私が気になったのは「スラントバッフル」。恥ずかしながら、初めて目にしました。バッフルとは、スピーカーの振動部分を入れる箱、あるいはその表面部分、ということでよいでしょうか。そのバッフルが斜め(スラント)になっていると。S5のスピーカーは通常の置き方(タテ置きで、右側・左側をスピーカー本体の表記通りに置くこと)をすると、後退角がついている感じになります。おそらく、スラントバッフルとはこのことを指すと思われます。

 

…画像で示した方が簡単でしたね。すみません。

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しかし、どうでしょう? 単純にスピーカーをタテ置き、ヨコ置きの両方できるようにするために、わざわざバッフルを斜めにする必要があったのでしょうか? そうしなくてもできると思いませんか。あえて斜めにする理由とは。例えば、ほんとはただデザイン上の特徴付けのため、斜めにしただけ。でも、それだけの理由では寂しいので、何か意義づけをしてみた…ということも、考えられなくもありません。しかし、きっとそうではなく、やはり最初から理由というか狙いがあって、このようなスラントをつけたように私は思います。なぜそう考えたかというと…。

 

カギの一つは、本文にある「だからセッティングが楽しい」。いや、これではヒントになっていませんね。ハッキリ示しましょう。それは取扱説明書に書いてあるんです。

 

そう、ここで初めて明かすと、少し前にS5の取扱説明書を入手したのです! それもコピーやPDFデータ等ではなく、実物を!(念のために申し上げますが、合法的な手段で入手しています)

 

取扱説明書 1 準備・接続編「設置の仕方」には、

*左右のスピーカーを入れ替えて、ステレオワイドの音創りを楽しむことができます。

*スピーカーのバッフル板が傾斜(約9°)していますので、左右スピーカーを入れ替えて音の拡がりをコントロールできます。

*スピーカーを横置きにした場合も、バッフル板を上向き、下向き、トゥイーターを内側、外側と置き方を変えることで好みの音場を作ることができます。

とあります。で、設置例として、タテ・ヨコそれぞれ2パターンずつイラストが示され、例えば、縦位置で左右用を入れ替えると「音場がシャープなものとなります」。ヨコの例がこれまた面白いというか、なるほどというか、下部が手前に長くなるような置き方は「聴く位置より低いところに置くとき」。いわゆる逆スラント(上部がひさしのようにせり出している状態)は「聴く位置より高いところに置くとき」。な~る~ほ~ど~!

 

ちなみにこの取扱説明書の「準備・接続編」は、書かれている内容もさることながら、構成というかテイストがめちゃくちゃ面白く、上記のような、ある意味マジメな説明が、80年代に流行ったファンシーっぽさ全開の丸文字で書かれているのです。あの、やたらひらがなの丸い部分(「ま」や「す」の線で囲まれた部分)が、過度に大きくなっているやつです。つい気になって調べたら、どうやら写植文字の「エツール」が使われているようです(漢字は通常の丸ゴシック風)。ほんと、出版・印刷関係のこの手の話は奥が深くて、それだけで新しいブログ記事が作れそうなくらいです。

 

ということで、本日は事実上、S5のアピールポイント、「スラントバッフル」のお話でした!