SELFIE S5 の部屋

パイオニアのミニミニコンポ・SELFIE S5 についていろいろ書いてます

SELFIEの情報探し・その2~図書館編

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本屋がダメなら図書館へ!

 SELFIEの紙媒体情報を探す旅の続編です。私が行った本屋では残念ながら、SELFIEの情報は皆無でした。そこで次に向かったのは地元で最大の公立図書館。まあ、これも東京ならそれこそ専門の図書館が数多くあるのでしょうが。で、図書館で求めたのは今売っている本ではなく、当時の資料。雑誌、新聞、書籍の順にあたってみました。

 

手始めに雑誌を探る

こういう若者向けの家電が載っている雑誌といえば、いわゆる情報誌かなと思い、当時の記憶を掘り出して探す。『DIME』(1986年刊。ホント懐かしい)…所蔵なし。『日経トレンディ』(1987年刊。誌名自体が時代を反映)、『特選街』(発刊不明。子供の頃からあったように記憶)は所蔵するも、1990年代後半の発行から。情報誌系ではめぼしいものはありませんでした。

 

無線と実験』に発売時の記事発見!

そこで今度は音楽系。いや、もともと探すならこちらが先だろうと言われそうですが、なんとなくオーディオの専門誌では、ミニコンのように思い切り大衆向けな製品の扱いは少なそう…という思い込みがあって後回しになりました。それでまず雑誌を調べてみると、「無線と実験」が90年代以前からの分も所蔵していることを確認。そこでSELFIE S5の発売開始頃の巻をいくつか請求し、記事を探すと…ありました! 以下、引用します。なお[ ]は引用者の注です

●コンパクトコンポ

イオニア S5

¥129,000

[製品写真。引用省略]

 コンパクトなミニコンポ・システムに新しくPrivate SELFIE シリーズが加わることになった.SELFIEとは英語のSELFからの造語で,よりパーソナルなステレオを表現しているという.各コンポ機器は横幅260mmとして省スペース性を図り,形状もラウンドフォルムの採用とメタリック調仕上げによる高級感溢れるものとしている.また各機器をセパレート化することでリスニング・スタイルに応じて4通りのセッティングを可能にしており,レイアウトの自由度も高い.同時にS3(¥89,800)も発売され,いずれもコンパクトでしゃれたデザイン,CDを中心にした高音質設計,各機能をより使いやすくする優れた操作性を基本としている.50W+50Wの出力を持ち,機能的にもフェードエディットやディスコエディットによる2モードのCDコピーと編集機能,5種類のアメニティー・タイマーの搭載,サラウンドやマイクミクシングの搭載など,多くの機能と特徴を持つシステムである.手元でタイマーや操作やチューナー,CDの10キー操作ができるシステム・リモコンを標準装備している.

出典:『MJ無線と実験』1990年3月号 p.235 (藤本伸一「新製品ニュース」) 

この簡潔にして要を得た文章。まずそこに感銘を受けます。おそらくはメーカーの発表資料を中心に構成されているのでしょうが、読者が知りたいこと、知っておくと良いことが、わずか500字以内に的確にまとめられています。藤本氏は、同誌上で長年多くの記事を執筆されている方(というのを後から知りました)。今という時代、ネットでは、字数稼ぎのために薄く水増しされたり、あるいは字数制限がないためにだらだらとまとまりに欠いた記事が溢れていますが、シビアに字数が限られる紙媒体中心の時代ならではの質の高さを実感します。

 

新聞と本では…

次に当たったのが、新聞の縮刷版。新製品の記事や広告が出てないものかと。それで『朝日新聞縮刷版』の1990年2月前後を見ました。結論から言うと、SELFIEについては収穫なし。見落としがあるかもしれませんが、残念ながら発見できませんでした。とはいえ、やはり読み出すと面白いですね、縮刷版。ああ、こんなこともあったなと記事を見るたびに思い出す。それと、細かい話ですが縮刷版は東京版が元なんですね。なので、自分がいた頃の東京のローカルな話にも接することになり、あらためて懐かしさを感じてしまいます。新聞はあきらめて本を探します。

 

本といっても、当時からしてミニコンポ自体を対象にしたものはあるまい…と踏んでいましたが、それでも中には面白い本もあるんですね。一冊だけ紹介します。

 

『ポケット社史 パイオニア 技術の向こうに感動がある』、経済界「ポケット社史」編集委員会編、経済界発行(リュウブックス)、1993

内容は、半分がレーザーディスクなどの光学メディアの話。「社史」とはいいながら、序章からいきなり「レーザーアクティブは二一世紀への第一歩」(p.10)ですからね。まずは、当時一番勢いがあったというか成長が見込まれた分野のアピールから始まっています。後半はオーディオとクルマ関係。オーディオ関連の章で、ようやく本来の社史らしく創業時からの歴史が語られます。で、自分にとって肝心のミニコンポの話はというと、さすがに全く触れられないということはない。ただし、量として約4ページで、しかもprivateシリーズに関してのみ。刊行された1993年はSELFIE登場から4年後、製品シリーズも継続中で、それなりに売れていたはずだと思うけど…。SELFIEについては一言もなし。

「現在、再びセットステレオ市場に新しい波が押し寄せてきている。ミニコンから、さらに小型化した、ミニ・ミニコン主流となってきているのだ」(p.157)

そう、だったらその主流であるSELFIEのことを書いてよ! と思う私でした。